ニッポン風めぐり紀行

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『心が叫びたがってるんだ。』の感動を、心の底から叫びたい

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『あの花』の製作j陣が再びチームを組み、同じ秩父を舞台にした青春群像アニメ、




『心が叫びたがってるんだ。』


通称:『ここさけ』。




『あの花』にはまったことをきっかけに、長井龍雪×岡田磨里×田中将賀 という製作陣が再びチームを組んで発表されるオリジナル作品ということで、今年3月のキービジュアルが発表されて以来、劇場公開を長いこと楽しみにしていました。







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ということで、近隣に映画館がないので、一番近い山口県は下松にあるMOVIX周南まで、友人を連れて車で1時間半かけて行ってまいりました。しかも、1回目の上演時間09:00に合わせて早朝06:30には自宅を出発。濃い雲海に包まれた津和野や徳佐の町を走って08:30頃現地に到着しました。土曜日とはいえ、朝一の上映ということでお客さんは10名ほどでした。








『あの花』のときもそうだったのですが、『ここさけ』も青春時代の苦悩や葛藤を鋭く描写していて、その時代をとうに過ぎた大人が、心の奥底にしまったものを抉り出されるような、冷酷であるけれども優しくもある、そんな作品だと思いました。案の定、上映中は感極まってボロボロと泣いてしまいましたね。

プロモーションでは、しばしば『あの花』とのコラボが見られるのですが、『ここさけ』は『あの花』とはまったく別の作品で、変に『あの花』を意識したり、『あの花』と比較して見ようとすると楽しめないと思います。『あの花』は幼馴染の死をめぐる作品でしたが、『ここさけ』は家族関係や友人関係の中での言葉の持つ重みをテーマにしていて、同じ青春時代の苦悩を題材にしている訳ですが、両作品は切り離して見られることをお勧めします。









あらすじを簡単に説明すると、主人公である 成瀬 順 が、小学生の頃に自分のおしゃべりが原因で他人を傷つけてしまい、それが原因で言葉を発しない内気な高校生へと成長します。ある日、クラスで「地域ふれあい交流会」で出し物をすることになり、その実行委員に本音を言わない"エアー"な性格の 坂上拓海、チア部部長の優等生 仁藤菜月、落ちこぼれの野球部エース 田崎大樹とともに順も選ばれてしまいます。担任がミュージカルをやることを提案し、始めは4人ともまったく乗り気ではなかったのですが徐々に気持ちが変化していき、過去の自分の経験をもとに順が物語を書き、拓海が音楽を作り、菜月が2人を下支えし、最後まで乗り気ではなかった大樹も最後のほうは先導に立ち、クラスを巻き込んで作品を作り上げていきます。心を閉ざしていた順も、LINEでのやりとりを通して徐々に拓海に心を開くようになり、言葉を歌に乗せれば言葉を発することができる自分に気づくのです。ミュージカル作品作りを通して、それぞれが抱えている家族や仲間や好きな人など大切な人へ伝えたい素直な気持ち、本当に伝えたい心の叫びを解き放っていくという内容の作品です。













作品全体を通して非常に印象的だったのが、言葉を口にしない順が徐々に心を開いていく様子が、こちらの心が切なくなるくらいに犇々と伝わってくる点です。

順は家庭でも学校でも誰とも口を聞かず、作品序盤はまったくの沈黙少女で、隣に相手がいても直接話さずに、LINEやメールでやり取りするくらいなのです。言葉を発しない主人公の気持ちをどう表現するかは声優さんの力の見せどころでもあると思うのですが、話が進んでい行くうち、順が次第に相手に言葉で気持ちを伝えようとする場面が多くなります。小学生の頃のできごと以来、ずっと言葉を封印してきた彼女が言葉を口にするということは相当に勇気がいることだと思うのですが、言葉が出かけているのに伝えられないときの「うっっっ・・・・」という感じだとか、耐えきれなくなってその場から逃げ出すときの息づかいなど、葛藤や苦しみ、そして意を決して声を絞り出そうとしている必死さや緊張感がこれでもかという程に伝わってくるのです。



特に印象的だった場面というのがあるのですが、


まず一つ目は、「自分の言葉を歌にして下さい」と、順が拓海に直訴する場面です。それまではほとんどがLINEでのやりとりでの会話だったのですが、ミュージカルをやろうかどうか決めかねているところで、順は勇気を絞って自分の言葉で拓海に気持ちを叫ぶのです。 順は自分の過去の経験をもとに物語を作り、言葉を歌に乗せて今まで言えなかった気持ちを、殻を破って伝えようと自ら行動を起こす訳ですが、その順の気持ちが明確に表れる最初の場面で、物語が大きく動くところでもあります。



もうひとつは、ミュージカル発表直前の場面です。主人公に抜擢された順ですが、前日のある出来事をきっかけに、当日になって姿を消してしまいます。子どものころに心を閉ざすきっかけとなった場所に籠ってしまった順を拓海が見つけ出し、その場で拓海と対峙した順は、今までの順が嘘のように、はっきりとした自分の言葉で、ため込んでいた赤裸々な思いを拓海にぶつけるのです。家族に、クラスの友達に、好きな人に・・・。過去の出来事を言い訳にして、自分自身が心の中に作ってしまった殻を破り、ため込んでいた気持ちを解き放った瞬間がその場面で、その後、順はミュージカルに出演してフィナーレを飾るのです。




順だけでなく、他の3人も心の中に今まで言えなかった気持ちや苦悩を抑え込んでいて、物語が進むにつれて徐々に殻を破って成長していきます。また順は、自分を支え続けてくれた拓海に対して好意を抱くようになり、あれだけ無口だった順が、直接言葉で告白するところまでいくのですが、拓海には別に好きな人がいて順の気持ちは届かないのです。必死に殻を打ち破ってきた順ですが、想いを乗せた告白も相手には届かず、そのあたりの切なさもみどころではないでしょうか。



青春時代には、家族に対して、友人に対して、好きな人に対して、自分の素直な気持ちを言葉にして伝えることができず、それを封印したまま時が過ぎ去り、結局相手に伝えることができないまま後悔だけが残ってしまったという人も多いのではないかと思います。今この時も、伝えるべきことを言えぬまま、心の底にためてしまっている人も少なくないと思います。


そんな人の背中を、そっと優しく押してくれるような作品だと思いました。



もう一回、映画館に行って感動に浸りたいなと画策している私です。。。





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| 『あの花』&『ここさけ』 | 20:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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