ニッポン風めぐり紀行

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北陸本線の物語 ~561M直江津行


本日の宿泊地 直江津へ向かうべく、富山から普通列車に乗った。







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富山 19:12発。


561M 普通列車直江津行。


青単色413系の三両編成。





入線前の時点で、既に各乗車口には長蛇の列が出来ていた。それぞれに20人くらいが並び、ホームと平行にさらに列が伸びる。座席はすべて埋まり、ドアの端やロングシート前の吊革部にもずらっと客が立つくらいの混雑で、それは都心の通勤電車の様相だ。私も金網部に荷物をあげ、吊革につかまった。



まもなく発車という頃、ろれつが回っていないおっさんの声が車内に響く。BOXシートの一角に座ったおやじが同席の客に話しかけていたのだ。「ちょっと酒臭くて申し訳ないけれども、今は混んでるけどだんだん空いてくるから勘弁してくれ」という意味不明な言い訳をしている。


そのおっさんの言葉通り、滑川→魚津→黒部と進んでいくにつれてみるみるうちに乗客が減っていく。私の目の前のロングシートに座っていた女子高生四人組も、滑川・東滑川・魚津・黒部ときれいに一人ずつ降りていった。お祝いの花を抱えていたので、今日が卒業式だったのだろう。「こうやって一緒に帰るのも今日で最後だねー」とか、「じゃあね、また一週間後にー」なんてやりとりを聞いていると、こっちまで切なくなってきた。青春時代を過ごした列車の中には、きっと数々の思い出が染みついているのだろう。何気ない毎日の生活の中に、かけがえのない記憶が宿っている。



魚津からは、ピンクのナース服姿に紺色のカーディガンを羽織った若い女の子が乗ってきた。もしかしたら、看護学校の実習生だろうか。「こないだ東京に行ってタコを食べたらすごくまずくて、東京の人ってこんなの食べてんだぁって思った。やっぱり富山の魚が一番美味しい」というたぐいの話を富山弁でしていて、その可愛らしさがたまらなかった。一人は入善、もう一人は泊で下車して思わずついて行きたくなる衝動に駆られたが、どうにか理性を保って自己抑制した。


泊を過ぎると富山を出た頃がまるで嘘のように客が減り、BOXシートを一人で独占してもまだ余るくらいで、大半が大きな荷物を抱えた旅人もしくは同業者である。北陸本線の中でも好きなのが富山~直江津間、その中でも特に好きなのが天険・親不知を超えて直江津に至るまでの区間だ。富山の通勤圏を抜け、長距離移動の客のみが残された車内は、なんとなく眠くなるような澱んだ空気に包まれる。暗くて外の景色は分からないが、連続するトンネルを通過する度にガタンガタンという線路のつなぎ目を駆ける激しい走行音が響いてくる。


糸魚川からは、ITOIGAWAと刺繍されたバッグを抱えた野球部の高校生が乗ってきた。練習で疲れて帰宅するまで我慢できなかったのだろう、車内でおにぎりをパクつきはじめた。そして、彼が下車した駅は何と筒石!高校生だから毎日のように此処を利用しているのだろう。ホーム監視に降りてきた駅員さんに軽く会釈をして、彼は最後の階段登りに向かった。車内でおにぎりを食べていた理由がよく分かった。







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そして終着駅 直江津に到着。およそ半分は駅を出て帰宅もしくは宿に、もう半分は長岡行の最終列車に乗り換えていき、561Mの旅は終わりを告げた。





何十年もの間、北陸本線を走る列車と共に紡がれてきた日常の姿。これこそが、私が旅先で味わいたかった旅情のすべてだ。

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| 15年3月/北陸・信越+北海道 | 23:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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