ニッポン風めぐり紀行

各種旅行記、バイクツーリング、乗りものレポ、老舗旅館や街道探訪など、『旅に生きる日々』を綴るブログです。

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日本にバカンスを

本ブログでも何度か述べたことがあるのですが、私は長年にわたり日本にもバカンス(長期休暇)を定着させるべきだという考えを持っています。きっかけは大学の頃の研究活動で、何でもありの学問とも言われる社会学の中で私は地域社会学を専攻していて、いわゆる地域づくりだとか町づくりという分野に興味を持ち、そこから都市農村交流やグリーンツーリズム、有機農業や農村民泊といった地域での具体的な実践について勉強し、都市と農村の関係、U・Iターンなどの地方定住、観光による地域振興、労働と余暇の実態といった日本社会全体の構造的な問題まで視野を広げて見識を深めました。


私は連日の残業や休日出勤を強いられ、趣味の時間や家族との時間を犠牲にしてまで仕事に励んでいる者が賞賛され評価されるという日本の労働社会の風潮が大嫌いです。自分で時間をしっかり管理し、定時で仕事を終わらせて自分の時間を確保する人のほうがよっぽど賢いと思うのに、それを良しとしない息苦しさがあるような気がします。おそらく大多数の社会人が同じような考えを持っていると思いたいのですが、なかなかそういう声が表に出てこないのは、実際の会社組織の中で働いていると心の中では思っていても理想とは程遠い現実が組織内にあり、自分一人ではどうすることも出来ずに本意に反して現状に屈しているという人が多いのだと思います。しかしながら、高度経済成長期の日本で社会人生活が始まり、身を粉にして長時間働くことが美徳であるという風潮のもとで成長してきた人たちが歳を重ねてトップとなって会社や組織の実権を握り、経済や政治を動かしている訳ですから、長年に渡って培われてきたプライドや自負がある人たちの意識が劇的に変革されるというのはそう容易い問題ではないのは確かです。


近年問題となっているブラック企業も然りです。と言いますか、自分たちの会社は悪質極まりないブラック企業であると開き直っているところはまだいいのです。問題なのは、疲弊している社員の姿やその心の本音に気づかずにいる鈍感な管理者、そして自分はそれでやってきたのだからいう理由で変革や見直しをしない管理者、そしてそれらの問題を実は自覚しているのに気づかないフリをしている管理者が上にいる会社です。自分たちの会社がブラック的な要素を孕んでいることを自覚していない或いは気づかないフリをしていながら、社会的・表面的には普通の企業であると認識されている会社の方がよっぽど無神経で悪質で数も多い。そのような事業所の労働環境が改善されれば、正真正銘のブラック企業が駆逐されるのは時間の問題ですから。



「バカンス」という言葉の発祥地でもあるフランスにおけるバカンスの起源は、戦前の世界恐慌から国民を救済するための失業対策であったとされています。先の見えない社会に変革を求める労働者の怒りはやがて労働者の権利拡大へと発展して当時の内閣を動かし、1年間の労働に対して2週間の有給休暇の付与が法律で保障されるようになります。ブルジョワ階級の特権であった連続長期休暇が、労働者の権利として広く市民権を得るようになったのは1930年代後半のこと。歴史的に見れば権利が保障されてまだ1世紀も経過していない比較的最近の話なのです。


私は教員として勤務していた頃は正規採用ではない臨時教員だったので、授業のない日は私の勤務も休みで、つまり生徒と同じように1ヶ月以上の夏休みがありました。もちろんこの期間は無給なのでそれはそれで大変でしたが、お陰様で休みを利用してあちこちに旅に出ていました。正規採用となるともちろん夏休みも勤務日で、部活や会議や研修などもありますからたいして休むことも出来なかったでしょう。同じく非正規として勤務している今の配達の仕事は、完全週休二日制に加え、年に10日ほどもらえる有給休暇がほぼ100%消化できる職場で、これが正規雇用となると夏期休暇や冬期休暇まで付与されるという恵まれた環境にあります。うちの職場はそれまで別の仕事をしていて中途で入社したという人が非常に多くて前職の話などもよくするのですが、休日出勤やサービス残業は当たり前だとか、半年間まったく休みなく働き続けた等の実態を聞かされます。きっとそんなものは氷山の一角で、劣悪な労働環境にある事業所なんて星の数ほどあるのでしょう。真面目で勤勉な日本人の国民性につけこんで当たり前のように仕事を無理強いし、長時間サービス残業や休日出勤が当たり前で有給休暇も取得できないという現状の上に成り立つ経済成長とか利便性とかサービスの向上なんて偽り以外の何ものでもありません。飲食店の定休日が週に1日増えるとか、宅配便の時間指定の縛りがなくなるとか、留まるところを知らないお客の要求にいちいち迎合していたらきりがないし、どこかで事業者側が歯止めをかけてお客に我慢してもらわなければやがて社員は潰れてしまいます。お客の満足を考える前に、自分の会社の社員とその家族を守ることが優先される社会になって欲しいというのが私の切なる願いなのです。


正社員に限った話ですが、私の職場では「計画年休」といって年間単位で具体的に休みたい日にちを定め、計画的・強制的に年休を消化させるという制度があります。政府がやろうとしている年5日の有給休暇取得の義務化はまさにこの「計画的有給消化」にあたるものです。日本におけるバカンス定着への第一歩ではないですが、大企業や公務員だけでなく広く中小企業や非正規・派遣社員にも定着していって欲しいものです。
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COMMENT

おき三号さんこんにちは&非常に遅くなりましたが年賀状ありがとうございました(すいませんが僕は数年前からペンを捨ててしまったのでお返事はこちらでご勘弁いただければと思います)

今回の記事全くその通りだと思います、とは言え僕も社蓄上等みたいな考えだったこともあり(当時は洗脳されていたのですねw)日本はそう言う風潮が強すぎる気がします、まさに旅人気質を持った方にしてみれば非常に肩身の狭い社会であることは間違いないと思います、確かに便利さを追求するあまりその犠牲となり社蓄化せざるを得ない人が増えると言うのは本末転倒のような気がします、沖縄の離島にいた時に感じたのですが昼食時に軒並み食堂が休みだったことがあったのですが「それはそれでいいか」と言う気持ちになりました。
多少不便になっても自由が増える世の中になったほうが個人的にはいい気がしますがなかなかすぐには難しいかもしれないですね。

長くなりそうなので続きはライハにいらしていただいた時にでも(笑)

| トミー | 2015/02/08 09:53 | URL |

Re: タイトルなし

トミーさん>

明けましておめでとうございます(笑)。近況報告がてら勝手に送らせてもらいました。完全に自己満足ですので、一方的に末永く送り付けますので宜しくお願いします。


組織の中にいると組織内での規則や常識が当たり前になってしまって、あまりにも染まりすぎると外の世界が見えなくなるのが怖いですよね。世の中の動きに惰性で流されることが最も危険で、やはり人間は自分の頭で考えたり行動することをしなくなったら終わりですよね。

さて、私は明日から大規模活動ということで沖縄・大東諸島に行ってきます。活動内容はブログで逐一更新していきますので暇なときにでも覗いてやって下さい。

| おき3号 | 2015/02/09 16:56 | URL |















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