ニッポン風めぐり紀行

各種旅行記、バイクツーリング、乗りものレポ、老舗旅館や街道探訪など、『旅に生きる日々』を綴るブログです。

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青春18きっぷの終焉

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その後、軽井沢からJRバスで横川へ移動し、信越線と高崎線を乗り継いで都内へ戻ってきました。バス代や高崎線のグリーン料金で結果的には3000円近い出費となってしまいました。



因みに、この度の活動の本来の目的地は新潟でした。塩尻から「おはようライナー」、長野から「妙高」、新井若しくは直江津から「くびき野」に乗り、大規模改修される前の新潟駅舎や淘汰される前の115系に乗りつつ夜まで新潟に滞在し、夜行バスで東京に戻ってくるつもりでした。今回は直江津で足留めを喰らったわけですが、直江津以南の信越線は今秋に駅巡りや乗車の活動をこなしてきた区間であり、直江津から新潟までの「くびき野」乗車が活動の本丸という位置づけでしたので、消化不良の感があるのは否めません。ただ、厳冬期にダイヤ乱れに巻き込まれるのが信越線らしさでもあり、また日本有数の豪雪地である信越国境を往く旅を楽しめたのはある意味幸運だったかもしれません。






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一方で、今回の活動では長いこと貧乏鉄道旅行を支えてくれた青春18きっぷにも終焉が近づいていると実感させられる旅でもありました。学生の頃は毎シーズン購入して全国の未乗鉄道路線を乗破するのが楽しみで、実家への帰省などでも利用していました。

終焉が近いと感じる背景には大きく二つの要因があります。一つ目は今回の新幹線開業で3セク化される北陸本線・信越本線の区間などに象徴されるように、魅力的な路線・列車が悉く失われていることです。車窓に背を向けて座り、細かく分断された運行網では旅の楽しみなど生まれません。最近人気の観光列車やリゾート列車というのは作られた空間・演出された空間であり、その土地の日常とは一線を画しているという意味でどうも受け入れることが出来ません。東北本線や北陸本線、海峡線などの幹線路線に並行する新幹線の開業が進めば、活動できる範囲はさらに縮小し、もはや青春18きっぷはその存在意義を失うでしょう。


もうひとつの要因は、自分自身の心理的な要因です。先述の通り、学生や社会人駆け出しの頃は休みさえあれば青春18きっぷを駆使して全国各地へ出かけ、ことに首都圏近郊を含めた東日本全域にいたってはほぼ完乗という状態で、車窓をイメージできない路線というのがほとんどなくなりました。見たことのない風景に出会うことを最大の原動力にして、3回も4回も5回も連続使用して時間をかけて旅をすることがかつての楽しみでしたが、乗り尽くした今となってはそのような心が躍るような旅的好奇心が生まれにくいというのが実情です。

そんな私の最近の旅といえば、高速バスで現地に乗り込み、目的地を基点としてフリーパスを購入して鉄道に乗車したりレンタカーを借りるというものが主流です。青春18きっぷのみを利用した旅との決定的な違いは、目的地に到達するまでの時間のかけ方でしょうか。若い頃は初っ端から発動してひたすら目的地まで青春18きっぷという旅であっても苦にはならず、むしろその道程を楽しんでいましたが、先述の通り何度も往来した路線が増えた今、新鮮味や感動は次第に薄くなって目的地までの時間は単なる退屈な移動にすぎなくなり、魅力的な路線や列車の喪失がそれに拍車をかけてしまいました。


私は高速バスが主流ですが、高速道路や新幹線や航空網が充実している今、私たちの旅というのはそれらの恩恵に授かったものになっていると思います。出発地から高速で移動し時間をかけずに目的地に到達できることで、旅先での活動時間が飛躍的に増大しました。新幹線が開業するとき、並行する在来線が3セク化や廃止になったりそれまで長距離輸送を担っていた寝台列車が廃止されたりして既存路線の風情が惜しまれ、新幹線の味気ない無機質な移動が旅の雰囲気を削ぐというような話になるのが常ですが、私はそうはいっても多くの人は新幹線を心から歓迎し、その恩恵を受け入れ抱擁しているのだと考えます。直江津駅の待合室で待っている間、新幹線開業を目前に控えた地元住民の期待が込められたメッセージが掲示されているのが目に留まりました。「東京の孫に会いにいける」、「東京が近くなる」、「新幹線でディズニーランドに行きたい」、「東京の皆さん、上越へようこそ」といった東京とのつながりに期待する声が多数でした。地域に密着した細やかな輸送体系が多少不便になっても、それ以上に人々は新幹線で東京と繋がることを欲していることを示す証左であると思います。


公共交通機関というのはその地域の人に必要とされなくなったら終わりで、時代の流れにそぐわないものはその役割を終えてしかるべきであると考えます。地域の人々の将来的な利用が見込めない以上、公共交通機関はその存在意義を失うのです。そういう意味では、都市間を結ぶ高速交通網こそが今の時代に人々が求める公共交通機関の姿であると強く思うようになりました。各地に新幹線が整備され、既存の鉄道路線が縮小する流れは寂しくもありますが、それは我々が数ある選択肢の中から選んだ将来像であり、人々が望み欲して実現させた社会の姿そのものなのだと思います。


学生の頃、帰省先の島根から首都圏へ帰るというときに、素直に東海道線ではなくわざわざ北陸本線を使って移動した経験が何度もあります。実家最寄り駅から続く駅名標は青と白のデザインでしたが、直江津駅でJR東日本の緑色の駅名標を見た時、長い旅路の果てに関東へ戻ってきたのだなという感情が痛烈に湧き出たものです。北陸本線・信越本線は日本列島の東西を結ぶ主要幹線路線でもあり、加えて個人的な思い入れもあるため、今回の並行在来線の3セク化はこれまで以上に衝撃度の高い出来事でした。それだけに余計に青春18きっぷの終焉を感じてしまうのかもしれません。

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