ニッポン風めぐり紀行

各種旅行記、バイクツーリング、乗りものレポ、老舗旅館や街道探訪など、『旅に生きる日々』を綴るブログです。

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呑処巡礼 二十五番 ~広島 権兵衛

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昨年12月中旬の一週間にわたる広島研修の際に訪ねた居酒屋の話。厳密には一週間の研修を終えた週末。折角だからと広島に滞在してウィンズに競馬をしに行き、惨敗に終わった土曜日夜のことです。この日の広島は小雪が舞う程に寒く、財布の寒さも相まって心身共に暖まる料理を欲していました。先に紹介した「ひとよ」や「利根屋」にも程近く、緑提灯を掲げるおでんが主の居酒屋「権兵衛」を口開けと同時に訪ねます。


店内は20人ほどが座れるカウンターがあり、二階には団体用の座敷もあるようです。好きなところに座ってよいというので、おでん舟目の前の特等席に着座しました。


居酒屋の口開けというのは満席で座れない心配がないのが利点ですが、一方であまりに早すぎると仕込みが出来ていない素材もあるという欠点があります。以前に口開けで訪ねたことのある釧路の万年青も、「仕込み中でまだ出せないものがあるけどそれで良ければどうぞ」という断りがありました。具体的には炭の準備中の炉端、そして仕込みに時間を要すおでんがその対象でした。このように一長一短ある口開け入店ですが、おでんが売りの権兵衛においてもその不安が的中しました。

口開けと同時に入店したのは私以外に二人組が二組ほど。取り敢えず飲み物を先に頼み、おでんは後で注文を聞くから暫く待ってくれと言われました。飲み物はそう時間もかからずに出てきましたが、観察しているとどうも開店直後ということで人手が足りないようなのです。カウンターからは見えない裏にも厨房があり、取り仕切っている店主が裏の厨房とカウンター前のおでん舟とを行ったり来たりしていて、まったく落ち着かないのです。そうこうしているうちに客が続々と入店しはじめ、さらに混乱するという顛末です。


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若い兄ちゃんが二人出勤してきてからはある程度回るようになり、どうにか一巡目のおでんにありつけました。おでん舟にはやはり専門の番人が必要で最初の店主が腰を据えてそれをやるべきですが、酒をやったり裏の厨房で仕込んだりと他の仕事にも手を出してしまうことで混乱が助長されたのが要因のように見えました。人員が増えてからも注文したものが来なかったり頼んでないものが来たりと、やや連携が取れていない印象があり、静かに気持ちよく飲みたいこちらとしてはあまり見ていて芳しくない振る舞いでした。

一方で、おでんそのものは非常に美味です。権兵衛では出汁と味噌だれのおでんがあり、特に黒胡麻がふられた濃厚な味噌だれでいただく鶏皮は必食です。







<2017.12.16 訪問>

・麦水割
・玉子
・いわしだんご
・じゃがいも
・春菊
・すね肉
・厚揚げ
・とりかわ(味噌だれ)


権兵衛
広島県広島市中区薬研堀1-23 (広島電鉄銀山町電停より徒歩約5分)
082-241-0029
17:00~23:00
日曜日・祝日・お盆・正月

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呑処巡礼 二十四番 ~中村 いなか(二回目)

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二軒目の「一水」が団体客の喧しさによって不調に終わりました。店の雰囲気や料理自体は決して悪くなく、此処で満足したならそのまま帰宿するつもりでした。わざわざ延泊してまで確保した中村第二夜。このままでは後味が悪いです。

となると、三軒目は「いなか」しか選択肢はありません。




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昨日同様、一番奥のボックステーブル席に着座。店の女性陣も顔を覚えていてくれたようで、温かく迎えてくださいました。

日替わりの品書を一応は眺めますが、肴の主役は頭の中ではほぼ決まっていました。品書きに記載があることを確認してスマの焼き切りを発注です。相変わらずの凄まじい脂ののりでその美味しさには言葉もでません。もいかのゲソ唐揚げと金目鯛クリームコロッケを追加発注し、柚子サワーとともに中村の夜を締めました。

二夜にわたった中村の居酒屋巡りを振り返ってみると、一品一品の量が多いにも関わらず、全体的に値段が安いという印象があり、呑兵衛に優しい街といえます。十分飲み食いしたといえる注文量でも、いざ会計してみると三千円~三千五百円程度と思いのほか安かったのです。中村は幡多地域の中心都市で人口は三万三千程度と県下3番目の規模ですが、その割には飲み屋街が多いのです。官公署が多く集まり他の四国の都市とも距離がありますから、宿泊客を当て込んだ居酒屋が多いのだと推察しますが、互いが競合して安さと量を追求しているというよりかは、もともとの中村界隈の相場なのだと思います。安くて美味い料理を手頃な価格で提供するというもてなしの精神が根付いているのではないでしょうか。厨房の料理人の料理に励む眼差しやお勧めの品書を語る言葉、そして活発な女性従業員の姿を見ているとそのように感じずにはいられませんでした。



<2018.1.6訪問>

・柚子サワー
・煮込み(お通し)
・スマ焼き切り
・もいかゲソ唐揚げ
・金目鯛クリームコロッケ



いなか
高知県四万十市中村東下町31 (土佐くろしお鉄道宿毛線中村駅より徒歩約20分)
0880-35-6060
17:00~23:00
不定休

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呑処巡礼 二十三番 ~中村 旬菜 一水 

一軒目の「喜八」を切り上げ、程よく酔った心地良さのなかで二軒目を何処にしようかと悩みます。事前踏査で目をつけていた「元屋」か「いなか」再訪か、はたまた新規開拓か。



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暫し彷徨いながら悩んだ挙句、二軒目に選んだのは新規開拓の「旬菜 一水」。スナックが入ったビルの一階にあり、外観は上品で綺麗な印象。そして同じく清潔感のある内観ですがカウンターと個室の小上がりがあり、一番手前のカウンターに着座しました。

店先の立て看板には土佐料理と並んで一品料理が豊富なのが目につきました。ここは一旦代表的な土佐料理から離れて一品料理で一息入れ、満足すればそのまま終戦、物足りないなら「いなか」へ直行という流れを考えていました。幸いにもカウンターは空いており、落ち着いて呑めるだろうと期待していたのです。お通しの白身魚のカルパッチョと共に麦水割りを頼んで品書きを眺めていたところで、残念ながらその期待は脆くも崩れ去りました。カウンター背後の個室内の団体がとにかく騒がしく、じゃんけん大会で盛り上がっている大声・騒ぎ声・笑い声が外まで漏れてきてどうしようもないのです。しかもその状態が数分間にわたって続き、堪りかねた店員氏が注意に入るほどでした。居合わせた他の客にとっては迷惑以外の何物でもありません。酒の席での盛り上がりは楽しいものでそれ自体は否定しませんが、他の客もいることを弁えた飲み方をしてほしいものです。店員氏の注意により一旦は収まりましたが、その声は次第に大きくなり再び収拾がつかなくなるという始末です。結局、30分ほどの滞在で辞去しました。





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一水では土佐玉子焼きとたこから揚げを頼みました。特に土佐玉子焼きは鰹節入りで風味がよく、一品料理にもさり気ない土佐らしさが加えられている点が印象的でした。料理そのものは手が込んでいて美味しく、迷惑な客を野放しするのではなく注意していただいたことも大変有り難く、早期辞去は決して店が原因ではありません。残念ですが、今回はご縁がなかったものと割りきって、また次回に期待するしかありません。








<2018.1.6訪問>

・麦水割り
・白身魚のカルパッチョ
・たこから揚げ
・土佐玉子焼き



旬菜 一水
高知県四万十市中村栄町13 (土佐くろしお鉄道宿毛線中村駅より徒歩約20分)
0880-34-7727
17:30~23:00
火曜日

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呑処巡礼 二十二番 ~中村 喜八

2017年の年末年始の活動で四国を訪れ、幡多地域の中心都市である四万十市中村に初めて宿泊して夜の街を楽しみました。その時の様子は前回の記事で紹介したとおりですが、その時食べたスマガツオの「焼き切り」の美味しさが忘れられず、もともと一泊の予定だったところを当日朝に急遽方針変更し連泊することに決めました。



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こうして中村の第二夜が設定されたわけですが、まず昨夜の主役「いなか」を訪ねると、店先の看板に「スマ焼き切り」の文字があるのを確認しました。これにより「いなか」は最後の駒として取っておくこととし、、新規開拓を基本方針に据えて臨むことにしました。一軒目に選んだのは「いなか」からもそう遠くない中村天神橋の「喜八」。地酒を扱う「ことぶき屋」の真横にあります。中村初夜の段階で既に店の存在は把握しており、気になる店のひとつでした。店先の暖簾にはメジカ、貼看板にはまるで南国沖縄を思わせるような数々の魚が描かれ、土佐の清水さば、かつを塩たたき、四万十の川えびといった文字が踊ります。

店内はカウンターが10席ほどに5区画ほどの小上がり。二階には大人数の宴会向けの広間もあるようです。奥行に対して平行に伸びる厨房内では複数の料理人が持ち場を仕切り腕を振るっています。店内はなかなかの盛況だったのですが、入り口に近い角のカウンターという特等席に着座しました。




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品書きを一通り眺めますが、目下「焼き切り」の夢中の私はそれにしか目が留まりません。ということで然程悩むことはなく心は決まりました。芋の水割りと共に頼んだのはスマガツオ。いなかの「焼き切り」に対して喜八では「焼切れ」。店によって表現が多少異なるようです。いなかでは腹に近い部位を使っていて非常に脂がのっていたのですが、喜八では背に近い部位であっさりめ。皮が焦げるくらいにしっかりと焼かれているのも特徴です。




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続いて二巡目ですが、まだまだ飽き足りません。とにかく「焼切れ」が食べたいのです。仏手柑サワーとともに頼んだのはハガツオと鰹の焼切れ、そして四万十川の幸・青さの天ぷらです。私の目の前の厨房で腕を振るい、焼切れを出してくれた料理人の話では、この時期はスマガツオの脂ののりが良く、好んで食べる人が多いとのことでした。とにかく話好きな若い料理人で、私に食べる暇を与えてくれないのは少々参りましたが…。

ほぼ「焼切れ」の発注に終始して一時間半ほどの滞在で辞去しましたが、会計は3,500円ほどでした。昨日のいなかもそうでしたが、中村の居酒屋は全体的に値段が安く、しかも充実の盛りなので満足感が尋常ではありません。喜八では通常の品書の他にその日の仕入れによって変わる日替わりの品書があり、旬の魚の名が並びます。刺身にたたきに焼魚に焼切れといった調理法と組み合わせれば、食し方は無数でしょう。店構えがよく表しているように、黒潮の魚介を味わうにはお勧めの居酒屋です。







<2018.1.6訪問>

・芋水割り
・仏手柑サワー
・スマガツオ焼切れ
・鰹焼切れ
・ハガツオ焼切れ
・青さ天ぷら



■喜八
高知県四万十市中村天神橋10 (土佐くろしお鉄道宿毛線中村駅より徒歩約20分)
0880-34-0633
17:30~0:30
不定休

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呑処巡礼 二十一番 ~中村 いなか

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中村を訪ねるのは昨年10月の活動以来。

この時は土佐清水で清水鯖を求めて市内を駆け回ったために中村の街をゆっくり訪ねる時間はなく、天神橋商店街にある「酒蔵 ことぶき屋」にて「藤娘 大吟醸零酒 斗瓶囲」を仕入れ、さらに土佐中村郵便局にて風景印をいただいただけで中村を後にしました。小一時間の滞在でしたが、小京都と称される中村の街は碁盤の目のように整然としているのですが、それ故初めて訪れる者にとってはまるで迷路のように分かりにくいというのが印象でした。細やかながらもアーケード付の商店街があり、幡多地域の中心都市として多くの官公署が集まる中村には居酒屋も多いのではないかと思い、いつか一度宿泊して夜の街を歩いてみたいと思っていました。まさかわずか三か月後に実現するとは思いませんでしたが…。





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中村の飲み屋街は中村駅からはかなり離れており、かつての中村城の城下町、現在は官公署が集中する天神橋周辺に広がります。中村初夜となる今回は、中村天神橋商店街アーケードの入り口部分を横切る東下町稲荷通りにあり、大きな三角屋根が特徴的な「いなか」に決めました。

外からは中の様子を覗うことが出来ず、カウンター席は空いているだろうかとそっと扉に近づくとまさかの自動ドア…。不意をつかれた形で入店すると何とカウンター席がありません。カウンターに代わって一区画四名程度が座れるボックス席が四区画ほど厨房側にくっついて並んでおり、店の一番奥側の一画に首尾よく着席となりました。高低差があるのと一部は食器・調味料棚が間にあって厨房内の様子は分かりにくいですが、広くテーブルを使えるのは嬉しいところです。


以前の記事でも書きましたが、私は全体の注文の流れをある程度決めてから最初の注文をするという方針を持っており、ここでも中々(麦)の水割りとお通しの切り干し大根で下地を作りながら作戦を組み立てます。

組み立てにあたって主軸とするのは「土佐料理」です。前日の高知の居酒屋では代表的な土佐料理を一切口にしておらず、また中村は独自の塩たたきがあるとの情報があり初陣は鰹のたたきからと考え従業員を呼んだのですが、この日は鰹の入荷がなくスマガツオを代用しているとのこと。従業員のこの言葉で一度決めていた心が揺らぎ、再考させてくれと一度引き取ってもらいました。まったく往生際が悪いというか決断力がないというか…。


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鰹の入荷がないならば手広く黒潮の魚介を食した方が良かろうと考え直し、刺身盛り合わせとうつぼの天ぷらを注文しました。刺身は1,300円という値段以上の充実の盛りで、平目にヨコワに清水鯖、そしてスマガツオの刺身と焼き切りという充実の五点盛。中でも画像手前のスマガツオの焼き切りに一番最初に手を付けたのですが、一切れ食べてみてその感動的な美味しさに衝撃を受け、残りは一番最後まで取っておくほどでした。この「焼き切り」というのは藁焼き後に氷水で締める「たたき」とは調理法が異なり、表面の皮を炙ったり焼いたりした後に氷で締めずに切って供するという、いわば温かいたたきです。溶け出した脂の旨みと皮の香ばしさが口いっぱいに広がる何とも形容しがたい味で、その美味しさはたたきを凌ぐと断言できます。より脂分の多い腹に近い部位を分厚く切って供する「いなか」の拘りもその味わいに華を添えています。



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次に頼んだのはゆずサワーにマンボウのホルモン串焼き。ここまでは当初の注文方針通りですが、頼んだ最後の一品は再登場の「スマ焼き切り」です。盛り合わせの焼き切りだけでは飽き足らず、どうしてももう一皿食べたかったのです。中村の夜を彩り飾る肴はこの「焼き切り」だけで十分でした。注文時には私の腹具合を心配した従業員が「半人前にしましょうか?」と気遣ってくださいました。「いなか」では品書きによっては半人前といった注文も可能なようで、少量を色々食べたい人にはありがたい話です。それにしても、半人前でありながら五切もの焼き切りが盛られるとは恐るべしです。

「いなか」は厨房側に面するボックス席以外には個室の座敷が複数あります。多くの客の注文を捌く為に厨房内の料理人も従業員の数も多く活気があり、しっとりと落ち着いた雰囲気というよりかは賑やかな大衆酒場といった雰囲気です。多くは家族連れや仕事仲間の地元客や県外客で、カウンター席がないので独酌には不向きかと思われそうですが決してそんなことはなく、活気のある中で一人で居ることの心地よい孤独とでも申しましょうか、何とも言えない居心地の良さがあるのです。一時間半ほどの滞在の後、「近いうちに必ず再訪する」と心に誓って店を後にしました。

そして、その夢は翌日に実現することになります…。






<2018.1.5訪問>

・中々(麦)
・柚子サワー
・切り干し大根
・刺身盛り合わせ(平目・ヨコワ・清水鯖・スマ・スマ焼き切り)
・スマ焼き切り
・マンボウ肝串焼



いなか
高知県四万十市中村東下町31 (土佐くろしお鉄道宿毛線中村駅より徒歩約20分)
0880-35-6060
17:00~23:00
不定休

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