ニッポン風めぐり紀行

各種旅行記、バイクツーリング、乗りものレポ、老舗旅館や街道探訪など、『旅に生きる日々』を綴るブログです。

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呑処巡礼 二十七番 ~長崎 案楽子

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長崎の繁華街である思案橋・西町アーケード街の裏手の細路地の一角にある大衆割烹「案楽子」を訪ねました。

まだ十分外の明るい17時半という早い時間の来店にも関わらず、店の扉を開けると6席ほどのカウンターには4名ほどが陣取っており、カウンター中央の空席の一角に案内されました。カウンターの後ろ側には小上がりが3~4区画ほどあり2階にも座敷があるようです。

取り敢えず麦の水割りを発注して肴のあてを頼もうとしますが、案楽子には手元で眺める品書きがなく、カウンター背後の壁に掲げてある品書きを見て決めることになります。しかし、身体を180度回転させて眺める品書きよりもすぐ目の前にあるネタケースに心は惹きつけられます。鰯、鯖、鰤、鯛、鯵…。どの魚も生き生きとしていて、ガラス越しにも鮮度と美味しさが伝わってくるようでどうにも我慢なりません。ここはその水揚げされた最高に美味い鮮魚を期待して、お任せで刺身の盛り合わせを所望しました。盛られた魚は鰤・鯛・烏賊の三種。どれも唸るような美味さでしたが特に鰤の刺身は脂ののりが凄まじく歯ごたえがあって秀逸。

上々の滑り出しかと思われましたが、ここでまとまった数の客入りがあり店内はほぼ満席となり、それによって注文がなかなか通らなくなるという状況に陥りました。鯨料理・焼魚・煮物・天婦羅・寿司と魚介を中心とした目移りするような品書の数々なのですが、店員の多忙さは時間を追うごとに激しくなっていきます。刺身や酒がなくなり、次の注文をどうしようか躊躇している私の気持ちを察してか、隣席の常連御仁氏が話しかけてきてくださいました。

「私も長年通っているが、此処はいつも客が多い。だから口開けの16時半直後には来店し、欲しいものは始めにまとめて頼むようにしている。鮮魚は先代を継いだ若い店主が一人で捌いているから客が増えるといつもこんな感じになる。それでも魚が旨いからここに通う。貴方はまだ若いから、これもひとつの勉強だと思えばよいのですよ。」

さらに言葉は続き、

「貴方は良い店を選びましたね。最近のテレビや口コミの影響でこの店もお客が多くなったが、案楽子のような素晴らしい店をわざわざ県外から訪ねて来られて満足した様子のお客の姿を見ると、地元民としては本当に嬉しいのです。」

その方は刺身と煮付けを肴に酒を飲んでいましたが、店内が混み合い始めると早々に辞去されました。席を立つ去り際に再度私は声をかけられ、「ありがとう。またこの店で会いましょう。」と仰っていただいて固い握手をして別れました。




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漸くのところで店員が注文を聞いてくれ、生鯖と鯵のたたきを頼みました。

天麩羅や煮魚といった選択肢もあったのですが、刺し盛の美味しさに感動して生魚を食したい気持ちが上回りました。注文を待っている間、今度は上品そうな白髪の御婦人が一人で入店され私の隣席に着席されました。店員との掛け合いを見ても常連であることは明らかで、慣れた口調で生さばを頼まれていました。ちょうど同じタイミングで私の刺身も運ばれてきました。鯖の切り身は分厚くコリコリとして歯応えがあり、鯵は鮮魚の身を店主がその場でたたきにし、尾頭付きの状態で供されました。共に文句なしの美味さで言葉もありません。

隣の御婦人とも言葉を交わしましたが地元長崎在住だそうで、「坂が多くて大変な時もあるけど、住めば都。長崎の街が大好き。」と仰っていました。刺身の次はいつも頼んでいるという鯨のおばを頼まれていました。白く薄いえんがわのようなぺらぺらとした物体で山口や高知ではおばいけと呼ばれるやつです。先の独酌御仁にも強く薦められていたのですが、私にとっては未知の食材ということで警戒して結局頼まなかったのですが、この方におばとはどの部位なのかと尋ねてみると、「わからない。いつも美味しいと思って食べていたけどどこだろう…。」というまさかの珍回答もいただきました。

終始注文の通らない状態が続きましたが、私には刺身と酒で十分でした。カウンター前で店主の仕事ぶりを見ても一切の手抜きがなく、美しい刺し盛が次々と造られていくのです。その仕事の脇を固める女将を始めとした店員氏の仕事も決して悪くありません。鮮魚だけ見ても十分で通う価値のある良店であることがわかりました。幸いにも、店をよく知り足繁く通う地元常連氏と隣席で時間を共にさせていただきました。その方々の存在や言葉が、地元で愛される店であることの何よりの証です。







<2018.3.24訪問>

・麦水割り×3
・ライムサワー
・刺身盛り合わせ(烏賊・鯛・鰤)
・生さば
・鯵のたたき



案楽子
長崎県長崎市浜町7-20 (長崎電気軌道観光通り電停より徒歩約3分)
095-824-4970
16:30~22:00
日曜定休
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| 18年3月/長崎 | 21:19 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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呑処巡礼 二十六番 ~清澄白河 鳥長

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かつて仕事をしていた清澄白河。

仕事や私用で上京した際には懐かしさのあまりついつい足を運んでしまいます。古き良き下町の風情が色濃く残り、寺院が点在するのが清澄白河の特徴ですが、近年は新しいマンションが続々と建ちはじめ、カフェやバーなどのお洒落な店も増えました。仕事をしていたことによる愛着も勿論ありますが、古いものと新しいものが融合することで訪れるたびに新たな発見がある清澄白河の街が大好きなのです。

この日の東京は二月中旬でありながら日中の気温が15度近くまで上昇し夜になってもそれほど気温が下がらず、厚手の上着を宿に脱ぎ捨てて夜の街に繰り出します。清澄白河で仕事をしていたとはいえ住まいは千葉の市川、且つ日中の仕事だったので清澄白河界隈で飲んだことはなく、夜の姿も知りません。ただ仕事柄惹きつけられる居酒屋は何軒も知っており、そのうちの一軒を訪ねることにしました。



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清澄白河駅と森下駅のほぼ中間、小名木川の北に位置するのらくろ商店街の一角に、懐かしい佇まいが見えてきました。明るい昼間の店を畳んでいるときの姿しか知らない私としては、店先に暖簾を掲げ明かりが灯る「鳥長」の佇まいを見るのは新鮮でした。

口開け30分後の17時半頃入店。カウンター席にも余裕がありましたが直後に立て続けに入店があり瞬く間に埋まり、満席お断りが出るほどでした。吉田類氏も訪ねた鳥長は地元民中心に名の知れた居酒屋のようで、私も10分遅れていたら入店できなかったかもしれません。まさに間一髪、絶妙のタイミングでの着席でした。間口が狭く奥行が異様に長いのが店の特徴ですが、奥行に対して平行にカウンター席が15席ほど並び、カウンター背後に座席席、最奥にはテーブル席もあります。カウンターと座敷席の間の通路がすれ違うのが難しいくらいの細さのため所々に待避所があり、うまい具合に行違ったり料理をバケツリレーしたりしていました。

店名が示す通り、鳥長は焼鳥と鰻の店です。店の入り口付近に炭火の焼台があり、店先を通ると香ばしい匂いが漂ってきます。そしてこの焼台を取り仕切るおっさんが鳥長の名物店主で、威勢のよい大きな声が四六時中店内に響いているのです。店主の立ち位置は奥行が長い店内の店先の角、さらにすれ違うのもやっとの狭さですから、注文の確認や指示を出すのに自然と声が大きくなるのでしょう。その口調は決して怒っている訳ではなく、うるさくて耳障りといよりかはこれぞ下町の親父という感じで逆にその賑やかさが心地よいのです。



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親父の丁寧な手仕事によって供される焼鳥は文句なしの美味しさで、豚の串焼も含めて計11本を食しました。初めに串五本の盛り合わせを頼んだのですが、上焼鳥・つくねなんこつ・椎茸はさみ焼・ししとうはさみ焼・葱はさみ焼という組み合わせで、様々な部位を期待していた身としてはつくね+野菜が変わっただけの正肉四本は若干物足りなさが残り、鶏皮に砂肝にぼんじり、さらに豚のシロ、タン、カシラを追加発注したという顛末です。この他にも鮮度抜群の鳥刺に主に鶏皮を使った味噌味の煮込み、さらに蛸ぶつを食し酒と合わせて五千円ほどでした。鶏だけでなく、築地にも近いので鮮魚も充実していました。




<2017.2.11 訪問>

・麦水割
・グレープフルーツサワー
・しめじの和え物
・鳥刺
・蛸ぶつ
・串五本盛合せ(上焼鳥・つくねなんこつ・椎茸はさみ焼・ししとうはさみ焼・葱はさみ焼)
・煮込み
・鳥皮焼
・砂肝焼
・ぼんじり
・シロ
・タン
・カシラ


鳥長
東京都江東区高橋9-4 (地下鉄清澄白河駅より徒歩約5分)
03-3633-0656
17:00~23:00
月曜定休

| 日常の話題 | 22:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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呑処巡礼 二十五番 ~広島 権兵衛

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昨年12月中旬の一週間にわたる広島研修の際に訪ねた居酒屋の話。厳密には一週間の研修を終えた週末。折角だからと広島に滞在してウィンズに競馬をしに行き、惨敗に終わった土曜日夜のことです。この日の広島は小雪が舞う程に寒く、財布の寒さも相まって心身共に暖まる料理を欲していました。先に紹介した「ひとよ」や「利根屋」にも程近く、緑提灯を掲げるおでんが主の居酒屋「権兵衛」を口開けと同時に訪ねます。


店内は20人ほどが座れるカウンターがあり、二階には団体用の座敷もあるようです。好きなところに座ってよいというので、おでん舟目の前の特等席に着座しました。


居酒屋の口開けというのは満席で座れない心配がないのが利点ですが、一方であまりに早すぎると仕込みが出来ていない素材もあるという欠点があります。以前に口開けで訪ねたことのある釧路の万年青も、「仕込み中でまだ出せないものがあるけどそれで良ければどうぞ」という断りがありました。具体的には炭の準備中の炉端、そして仕込みに時間を要すおでんがその対象でした。このように一長一短ある口開け入店ですが、おでんが売りの権兵衛においてもその不安が的中しました。

口開けと同時に入店したのは私以外に二人組が二組ほど。取り敢えず飲み物を先に頼み、おでんは後で注文を聞くから暫く待ってくれと言われました。飲み物はそう時間もかからずに出てきましたが、観察しているとどうも開店直後ということで人手が足りないようなのです。カウンターからは見えない裏にも厨房があり、取り仕切っている店主が裏の厨房とカウンター前のおでん舟とを行ったり来たりしていて、まったく落ち着かないのです。そうこうしているうちに客が続々と入店しはじめ、さらに混乱するという顛末です。


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若い兄ちゃんが二人出勤してきてからはある程度回るようになり、どうにか一巡目のおでんにありつけました。おでん舟にはやはり専門の番人が必要で最初の店主が腰を据えてそれをやるべきですが、酒をやったり裏の厨房で仕込んだりと他の仕事にも手を出してしまうことで混乱が助長されたのが要因のように見えました。人員が増えてからも注文したものが来なかったり頼んでないものが来たりと、やや連携が取れていない印象があり、静かに気持ちよく飲みたいこちらとしてはあまり見ていて芳しくない振る舞いでした。

一方で、おでんそのものは非常に美味です。権兵衛では出汁と味噌だれのおでんがあり、特に黒胡麻がふられた濃厚な味噌だれでいただく鶏皮は必食です。







<2017.12.16 訪問>

・麦水割
・玉子
・いわしだんご
・じゃがいも
・春菊
・すね肉
・厚揚げ
・とりかわ(味噌だれ)


権兵衛
広島県広島市中区薬研堀1-23 (広島電鉄銀山町電停より徒歩約5分)
082-241-0029
17:00~23:00
日曜日・祝日・お盆・正月

| 日常の話題 | 20:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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呑処巡礼 二十四番 ~中村 いなか(二回目)

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二軒目の「一水」が団体客の喧しさによって不調に終わりました。店の雰囲気や料理自体は決して悪くなく、此処で満足したならそのまま帰宿するつもりでした。わざわざ延泊してまで確保した中村第二夜。このままでは後味が悪いです。

となると、三軒目は「いなか」しか選択肢はありません。




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昨日同様、一番奥のボックステーブル席に着座。店の女性陣も顔を覚えていてくれたようで、温かく迎えてくださいました。

日替わりの品書を一応は眺めますが、肴の主役は頭の中ではほぼ決まっていました。品書きに記載があることを確認してスマの焼き切りを発注です。相変わらずの凄まじい脂ののりでその美味しさには言葉もでません。もいかのゲソ唐揚げと金目鯛クリームコロッケを追加発注し、柚子サワーとともに中村の夜を締めました。

二夜にわたった中村の居酒屋巡りを振り返ってみると、一品一品の量が多いにも関わらず、全体的に値段が安いという印象があり、呑兵衛に優しい街といえます。十分飲み食いしたといえる注文量でも、いざ会計してみると三千円~三千五百円程度と思いのほか安かったのです。中村は幡多地域の中心都市で人口は三万三千程度と県下3番目の規模ですが、その割には飲み屋街が多いのです。官公署が多く集まり他の四国の都市とも距離がありますから、宿泊客を当て込んだ居酒屋が多いのだと推察しますが、互いが競合して安さと量を追求しているというよりかは、もともとの中村界隈の相場なのだと思います。安くて美味い料理を手頃な価格で提供するというもてなしの精神が根付いているのではないでしょうか。厨房の料理人の料理に励む眼差しやお勧めの品書を語る言葉、そして活発な女性従業員の姿を見ているとそのように感じずにはいられませんでした。



<2018.1.6訪問>

・柚子サワー
・煮込み(お通し)
・スマ焼き切り
・もいかゲソ唐揚げ
・金目鯛クリームコロッケ



いなか
高知県四万十市中村東下町31 (土佐くろしお鉄道宿毛線中村駅より徒歩約20分)
0880-35-6060
17:00~23:00
不定休

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呑処巡礼 二十三番 ~中村 旬菜 一水 

一軒目の「喜八」を切り上げ、程よく酔った心地良さのなかで二軒目を何処にしようかと悩みます。事前踏査で目をつけていた「元屋」か「いなか」再訪か、はたまた新規開拓か。



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暫し彷徨いながら悩んだ挙句、二軒目に選んだのは新規開拓の「旬菜 一水」。スナックが入ったビルの一階にあり、外観は上品で綺麗な印象。そして同じく清潔感のある内観ですがカウンターと個室の小上がりがあり、一番手前のカウンターに着座しました。

店先の立て看板には土佐料理と並んで一品料理が豊富なのが目につきました。ここは一旦代表的な土佐料理から離れて一品料理で一息入れ、満足すればそのまま終戦、物足りないなら「いなか」へ直行という流れを考えていました。幸いにもカウンターは空いており、落ち着いて呑めるだろうと期待していたのです。お通しの白身魚のカルパッチョと共に麦水割りを頼んで品書きを眺めていたところで、残念ながらその期待は脆くも崩れ去りました。カウンター背後の個室内の団体がとにかく騒がしく、じゃんけん大会で盛り上がっている大声・騒ぎ声・笑い声が外まで漏れてきてどうしようもないのです。しかもその状態が数分間にわたって続き、堪りかねた店員氏が注意に入るほどでした。居合わせた他の客にとっては迷惑以外の何物でもありません。酒の席での盛り上がりは楽しいものでそれ自体は否定しませんが、他の客もいることを弁えた飲み方をしてほしいものです。店員氏の注意により一旦は収まりましたが、その声は次第に大きくなり再び収拾がつかなくなるという始末です。結局、30分ほどの滞在で辞去しました。





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一水では土佐玉子焼きとたこから揚げを頼みました。特に土佐玉子焼きは鰹節入りで風味がよく、一品料理にもさり気ない土佐らしさが加えられている点が印象的でした。料理そのものは手が込んでいて美味しく、迷惑な客を野放しするのではなく注意していただいたことも大変有り難く、早期辞去は決して店が原因ではありません。残念ですが、今回はご縁がなかったものと割りきって、また次回に期待するしかありません。








<2018.1.6訪問>

・麦水割り
・白身魚のカルパッチョ
・たこから揚げ
・土佐玉子焼き



旬菜 一水
高知県四万十市中村栄町13 (土佐くろしお鉄道宿毛線中村駅より徒歩約20分)
0880-34-7727
17:30~23:00
火曜日

| 四国スタンプラリー | 15:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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